そのひとは美しい人でした


大輪の花のように

一番輝く宝石のように

猫の瞳のように

バッハの旋律のように

夕暮れ最初にひかる星のように


美しい人でした



母が愛しい子をみつめる眼差しのように

熟練の整備工の油に染まる指先のように

小さな子どもがもっと小さな子のために
流した小さな涙のように

くる日もくる日もドレスを縫い続け
丸まったお針子の背中のように


美しい人でした



彼女の存在は人々に生きる力をくれました

切なくてどうしようもない夜には夢を見させてくれました

彼女が去った後
寂しさと悲しさで心が粉々になるような絶望も教えてくれました



しかし その絶望の夜は必ず明けました
彼女を思うと闇の中にはいられなくなるのです


彼女に出会った人は皆
人生とは何て素晴らしいんだ
と 心から思い 祈るような気持ちになりました



そのひとは美しい人でした