ジョイとハピネスはサーカスの人気者。

ふたりは特に若いお嬢さんたちに大人気。
理由はピンク色のかわいらしさ・・・だけではなく
もっとすごいことでした。

ふたりが奏でるオルガンからは
音楽に合わせてお花が飛び出して
客席にふわりふわりと降り注ぐのです。

そしてそのお花を受け取れると
大好きな人と結ばれるんですって!

そんなことってあるのかしら?


ちなみに誰か他の人がオルガンを回しても
お花は絶対に飛び出しません。

ジョイとハピネスのどちらかひとりで奏でても
やっぱり花は出てきません。


不思議ですね。


◆◆◆

ふたりもね、最初からこんな特別なオルガン奏者ではなかったんですよ。


ハピネスとジョイはおなじ色のゾウですが
きょうだいではありません。

ジョイはサーカスで生まれました。
お母さんもお父さんも白いゾウでしたが、彼はお花のようなピンク色。

みんなが可愛い可愛いと誉めそやしました。
でもね、ジョイは嬉しくなかったんです。

「ぼくは男の子なのになあ。」

そしてね、どうしても、自分を好きになれなかったんですって。
ずっと、ずっと、長いこと。


◆◆◆

ジョイをそろそろサーカスに出演させようと思った団長は
ジョイと同じピンク色のハピネスをサーカスにスカウトしてきました。
そしてふたりは一緒にオルガンを弾くことになったのです。

ふたりの姿はそれはそれは愛らしくて
その演奏を聴いた人は、ふたりの姿を見た人は皆、
幸せな気持ちになりました。


「なんて幸せそうなカップルなんでしょう。
私も恋するあの人と、あんなふうに幸せになりたいわ。」

サーカスを見に来た大勢の人がそう願いました。

ハピネスとジョイはカップルではなかったのだけど
ジョイは出会った日からハピネスが大好きでした。

恋する彼には
皆の気持ちが毎日じんじん伝わってきて
自分の気持ちと重なって
皆の恋が叶ってほしいなと、幸せになってほしいなと
強く強く願うようになりました。


そんなある日、ふたりが演奏を始めると、
オルガンから花がふわりと飛び出したのです。
お花はふんわりハピネスの上に舞い降りました。

ハピネスは大喜び。

「まあ!ジョイ!なんてすてきなプレゼントなの!
うれしいわ、私もあなたが大好きよ!」

ジョイはびっくり。
お花にもびっくりだけども、ハピネスの言葉にもうびっくり。


「ああ、ハピネス、大好きだ。
ハピネスに出会えたピンク色のゾウの僕も大好きだ。

ああ、幸せって、こんなに幸せなんだ!」


それからジョイとハピネスが演奏する度にお花が飛び出すようになりました。

ふわりふわりふわり。

みんなの恋をかなえるお花が
今日もまたふわりふわり。


あなたの元へも届きますように。