その24◆8月の郵便配達 の話。の2。



8月のはじまりの日。

ふたりはそりゃもうびっくりした。



だってそこには

なんとも

すごい光景がひろがっていたんだもんさ・・・。


◆◆◆


8月の郵便配達は、大きな大きな魚の群れだった。

魚たちの訪れとともに
森の空気がかわっていた。

ずっしり重くて、ひんやりしていて、
まるで海の底にいるような・・・


女の子は、自分も魚になったような、不思議な気持ちになったんだ。


魚たちはゆっくりと大きく動き、
空気はぐおんぐおんと鳴り響いた。
それはとても大きな音なのだけれど、なぜかとても静かだった。



しなやかにバランスをとりながら、魚たちは降りてきた。
静かに待つ人に手紙を渡し、また空へと上っていく。


ひとびとは手紙を胸に抱いて
じっと魚たちをみつめていた。



ウカウカさんにも手紙が届いた。
そして、女の子にも。

そこには懐かしい筆跡で書かれた女の子の名前があった。

ああ。
女の子は胸がいっぱいになった。




森の奥へと女の子はかけていった。

普段は行かないところへ。花も咲いていない場所へ。

人の姿も消えて、静かさが深まる森の奥
でも、
女の子の目に飛び込んできたその光景は・・・



数え切れないぐらい集まった魚たちから
手紙を受け取るふたりのマダム。


・・・なんてたくさんの手紙。



でもどうして?