だってそこには
なんとも
すごい光景がひろがっていたんだもんさ・・・。
◆◆◆
8月の郵便配達は、大きな大きな魚の群れだった。
魚たちの訪れとともに
森の空気がかわっていた。
ずっしり重くて、ひんやりしていて、
まるで海の底にいるような・・・
女の子は、自分も魚になったような、不思議な気持ちになったんだ。
魚たちはゆっくりと大きく動き、
空気はぐおんぐおんと鳴り響いた。
それはとても大きな音なのだけれど、なぜかとても静かだった。
しなやかにバランスをとりながら、魚たちは降りてきた。
静かに待つ人に手紙を渡し、また空へと上っていく。
ひとびとは手紙を胸に抱いて
じっと魚たちをみつめていた。
数え切れないぐらい集まった魚たちから
手紙を受け取るふたりのマダム。