その12◆いろんなことがまたはじまる の話。の1。



今日は土曜日 うららかな午後。

そこそこ町で買いだしをして、
すっからかんになった女の子。
いつものように(ただで)珈琲いただきましょうと
喫茶ウカウカに寄ることにした。



ちいさなトラと、ドラゴンだ。
最近よくいるんだよね。

・・・ナイショだけど女の子、
このトラとはさ、なんとなく、仲良くなれないような気がしてるのよ。

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ちいさなトラ 「あんたはねえ、気ををつかいすぎるのよ。
だからさ、人からも気をつかわれちゃって、
距離ができちゃってるんじゃない?」

ドラゴン 「そうなのね・・・。そうね、わたし、なおしてみるわ!

・・・・・・ところでねえさん、『気をつかわない』って
どういうことに気をつけたらできるようになるのかしら?」



(え・・・・なに?人生相談?)



ウカウカ 「ほれ、おまえ様、今日のブレンドだったらぺ。
そしてお客さま達、お待たせいたしました。本日のケーキでございます。」

「わあ、美味しそう!」




女の子もケーキ食べたくなっちゃったよね。
でもお金ないんだもんね。


「ねえウカウカさん、良かったらわたし、
そこのはじっこの部分で味見してあげるけど?
だってほらやっぱり、女の子の意見って聞きたいでしょう?」


「ワシの舌でOKが出てる物を
なんでおまえ様の残念な舌に評価してもらわないといけないっぺよ。
ぜんぜん必要ないんだったらぺ。
ほれさっさと珈琲を味わうんだったらよ。

ま、お金が払えるんならな、お客さまとしてな、お出しするけどな。(ニヤリ)」







「だってそこのはじっこの部分使わないんでしょー。
そしたらいいじゃないのー。ウカウカさんのけちんぼー。」

女の子はそう言われるとなおさら食べたくなっちゃって
でもねお金ないもんねなもんで

ごねごねごねごね ごねたんだねえ。


・・・・・相手がウカウカさんだったしね。




「その態度、図々しすぎない?


聞いててなんだかいやな感じよ」



女の子(・・・・・・!!!やっぱり思ったとおり!このトラ、いじわるだ!!)



「珈琲ごちそうさま。

さあ、下宿人(ウカウカさんのことだね)のごはん作らなくっちゃ。
わたし忙しいから帰るわね。」

女の子はトラを無視したままで、席をたったんだ。



それでさ、
いつもと違って駆け足で
帰っていったんだよね。