その17◆いろんなことがまたはじまる の話。の6。



ちょっとちょっとあんたほれそこの
ねじりおだんごちょんまげ娘〜!」


(えええええ?あたし?だれだよこのお・・・!

あ・・・・・なんか・・・・・・濃い・・・・・・)



女の子は逃げたい気持ちでムネいっぱい。
しかしこの濃い主婦(っぽい人)は、実に主婦らしいマッハの勢いで目の前にやってきた。


「あたしよあたしー。前に会ったでしょう!
ほら!あんたが変てこな野菜売ろうとしてた時よ!」



(ああ・・・・あの・・・・・・・)


女の子はさらに逃げたい気持ち。しかしそうはさせてもらえないよね。


「あんたさあ!うちにジャム持ってきたでしょ!あれ、すっごく美味しかったわよ!」



「あれあのへんてこな野菜で作ったんでしょう?
おいしいのねえ!あのへんてこな野菜
この前は悪かったけどさ、今度うちに持ってきなさいよ。買ったげるからさっ!」

(・・・・このひとあのパン屋さんの奥さんなのね・・・
そ・・・それにしてもなんだろう・・・この圧迫感・・・・・・)

「あ、そうそう、ジャムも持ってきてよ!
あ、でもね、あんた、あのジャムは店の商品にはできないわよ。

味はいいわよ!保障するわ。
でも味なんてわかんないじゃない?買う時はさ。

野菜のジャムってアイディアもまあいいわね。
でも主婦はさ
『なるほどね、私も作ってみるわ』

おしまいだって!
あれじゃ手に取らないって!
買わないって!

だって
『時間ありゃジャムなんて作れるわ』
と、主婦はまーず思うからね!
(ま、だいたいの主婦は実際は作らないんだけど)」

♪♪♪
リンゴンリンゴン

・・・・その時、夕方の鐘がなったのよ。

すると

「んま!こうしちゃいらんないわ!忙しいのよ夕方は!」




くるりと背を向けて
実に主婦らしい猛ダッシュで
あっという間に去っていった。

女の子はさ、呆然としてしまったね。

さて、どうしよう。