その4◆出会いのはじまりの話。の1.




女の子は町で、小麦粉と砂糖と卵と牛乳を買ってきた。
野菜を使ってケーキを作ってみようと考えたんだよね。

出費は心にも痛かったけど、
ケーキは綺麗に焼きあがった。

よし、これなら売り物になりそうだわね。
女の子はほくそ笑み
ケーキを冷ます時間にね、とらぬ狸の皮算用 
うきうきしながら、かわり種を植えにいった。


するとなんだか気配がしたのよ。
女の子のまわりでぴゅんぴゅんサササ、テテテテテ
何かがいるぞ、誰かがいるぞ、



あ・・・・・いた。





!!!なにこれ!だれこれ!これだれなんなんだれだれよ!
とにかくめちゃくちゃ可愛いじゃないのよ!!

女の子ちゅーのはさ、かわいいものには目が無いものなんだね。
ワクワクワクワク心臓バクバクバクバク。
こいつあーなんとかしなくっちゃ。

平常心を装って、女の子はやさしく声かけた。

「こんにちは。
こわがらなくていいのよ。
よかったらうちに遊びに来ない?
あなたとってもかわいらしいのね」

相手のハートを射止めるための、ほほえみも忘れてないよ。


ところがどっこい


・・・・そうは問屋が卸さなかったね。
こいつ、急に怒鳴りやがったよ。



あたしが何をしたっていうのさ!
それよりも・・・こいつって一体何?
もしかして・・・・おっさん?

家になんて呼ばない方が良かったかも。