その3◆女の子のはじまりの話。の2。


女の子の思いつき商売、まずは失敗で始まったというわけよ。

「これだ!」と思った花が売れなかったのはびっくりだったけど、
次は、これだと思う野菜にとびついてみた。




「新鮮ですよ。とれたてです!」

八百屋は気の良いおやじなんだけどさあ
こんなにでっかい豆つぶや
にんじんの切り身ってのはねえ
今まで売ったことないもんねえ

困ったもんがやってきたなあと
ハテどうしたものかと困惑中

そしたらさ、通りかかった主婦がこう言ったのよ。

「あらまあ!これは育ちすぎでしょう!
こういうのって大味(おおあじ)なのよ
あたし知ってるわよ、知ってんだから、絶対そうよ!」

「え〜〜〜美味しいですよ〜〜〜」
と女の子は言いかけたんだけど、ハタと気付いた

・・・実はこれ、食べたことなかったんだよね。
やっばい下手なこと言わないほうがいいなと、
心んなかで思ってさ
失礼しましたとすたこらさっさ
森の小屋に帰ってきたのよ。

そんでね丁度おなかもすいたし、自分のごはんを作ってみたのよ。

うん、なかなかいい味だったね!
素材(野菜)はね。

・・・・・料理はそりゃもう下手だった。
極甘スープに胡椒がきいてた。

ひとりで食べる初めての食事はパンチが効いてたね。
これが大人の味なのか。






料理ね、そういえば、習ってなかったわよ。

ま、なんとかなるでしょう。明日もあさってもその次も、
ごはんは毎日続いていくもんね。



花と野菜
使ったぶんだけ植えること。
それが約束だったからね。

女の子のくらしはそうやってはじまったんだ。